2006年3月29日 (水)

産油国の水事情

【要約】
 産油国UAEでは1本の木に年間1000ドルかけて水を与えている。
 まともに小麦を作ったら1キロ当たり20万円分の水が必要。

UAEに仕事で行ったことがある友人から聞いた話です。
中東の観光と金融の中心となっているドバイでは、道に生えている
木に、どんどん水を与えて枯らさないようにしています。
そのコストは木1本あたり、年間1000ドルもかかるそうです。
日本では考えられない話ですね。
水1リットルの値段がガソリンよりも高い国なので、そうなってしまう
のでしょうが、こんなことができるのもオイルマネーのおかげです。

仮に水1リットルを100円とすると、小麦1キロ作るのに2トンの水を
使った場合、小麦1キロ=20万円という商業ベースでありえない
価格に跳ね上がります。ゴールド1キロ約220万円、シルバー1キロ
4万5千円と比べてみたくなります。
近所のスーパーで売っている小麦粉1キロの袋はいくらでしょうか?

中東の産油国で農業をやる場合、仮に小麦1キロ=500円位を
めざすとすると、水のコストを1/400まで下げる必要があります。

納豆樹脂を使って保水力を向上させ、使う水を1/4に節約できた
として、1リットル=1円。
通常の技術では砂漠では農業ができない。石油を輸出して稼いだ
お金で、食料を輸入しようという経済行為を通常は選びます。

水が事実上無料だったら? たとえば、無駄に捨てられていたゴミ
から水素を作って、燃やして水を得られるのなら、自国で生産した
方が安いし、遊牧民も農業をして生活をすることができます。

そんな技術があるのなら、産油国は喜んで砂漠を緑化するでしょう。
できるはずがないと誰もが思いますが、それを実現する人達が
現れたら、少なくとも水不足と食料不足は解消されます。

橘みゆき  2006/03/29

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年3月28日 (火)

水の節約

【要約】
 灌漑による水の消費量を納豆樹脂を使って節約すれば砂漠が緑化できる。

通常の農業では、1kgの小麦を作るのに2トンの水が必要となります。
水の供給は、雨や雪によるもの、河川から水を引いてくる、井戸を掘って
水をくみ上げる、様々な方法がありますが、田んぼや畑から水が蒸発
したり、地下に浸みこんだり、他の土地に流れたりして、水が消費されます。

乾燥地で灌漑により水を供給した場合、塩害により、耕作できなくなり
結局もとのもくあみといったことが起きています。これは大量に水を
与えた結果、土地に含まれている塩分が浮き上がってきたり、水自身
に塩分が含まれている(海水プラントでできた水など)ため。
環境に大きな負荷を与えた結果といえます。
消費する水を減らすことができれば、塩害による被害も最小限に
とどめることができるのではないでしょうか。

水を有効に活用するには、なんらかの方法で
(1) 蒸発を防ぐ
(2) 地下に浸透するのを防ぐ
(3) 他の土地に流れないようにする
ことをすればよいことになります。
言い換えれば、「保水力をアップする」ことになります。

この1つの方法として、納豆樹脂を使って、水をゼリー状にして
しまうというのがあります。現状、コストが高いのですが、量産化
して低コストにしてしまえば、世界中で利用が可能となります。
オイルマネーで潤っている中東諸国を緑化してみるのも良い
でしょう。
ちなみに、おむつに使われているのはポリマーでも似たような
ことができますが、いつまでも腐らないので環境にはNGです。

橘みゆき  2006/03/28

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月27日 (月)

水の種類

【要約】
 水素を燃やしても水は得られます。これは新たな水資源です。

昨日、仮想水のお話をしました。
1kgの小麦を作るのに2トンの水が必要なことも。
私達が生きていくためには、大量の水が必要となり、生活水準が
上がれば、さらに多くの水が必要となります。
人口爆発とも関連しますが、今日は水に限定します。

水は、雨や雪で空から降ってくるもの、河川として流れているもの、
伏流水など地表近くの地下に流れているもの。これらは、フローの
水です。供給される分、使える水です。(※水利権を無視した場合)
湧き水とか井戸も含めて、自然の水です。

一方、地下水をくみ上げすぎて、地下水位がどんどん下がって
いった場合、50mとか100mとか深い井戸を掘って、ポンプで
くみ上げます。これ位深いところにある水は、雨によって供給される
のではなく、地層と地層の間に挟まれている化石水です。
全部くんでしまったら、それまでです。
アメリカ合衆国の穀倉地帯などは、化石水を大規模農場の灌漑に
使っているため、数百年もしないうちに干上がってしまい、草原に
逆戻りです。

自然水と化石水。これ以外にも淡水化プラントによって海水から
得られた水や、燃料電池で発生する水もあります。技術の力に
よって生み出された水といって良いでしょう。

ちなみに、燃料電池から得た水は、塩分を含んでいないため、
塩害の心配がありませんから、水を効率よく使う方法を考えれば
砂漠の緑化が実現します。

H2+O → H2O+熱エネルギー

という式から、ガソリンエンジンからはCo2が出てしまうが、
燃料電池では水が得られます。
それを有効活用すれば、立派な水資源になるのではないでしょうか。

橘みゆき  2006/03/27

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年3月26日 (日)

バーチャルウォーター

バーチャルウォーター(仮想水)の概念は、1990年代初めにロンドン
大学のトニー・アラン教授が提案した概念です。
たとえば、農産品や工業製品を生産するのに大量の水が必要と
なります。そのため、農作物や工業製品を海外から輸入した場合、
水を輸入したと同じだという概念です。

農産品の例
 小麦1kg作るのに、水2000リットル(2トン)の水が必要となる。
 牛肉1kg作るのに、穀物10Kg必要となるため、20トンの水が必要。
 日本のように輸入大国の場合、水を大量に輸入しているのと同じ。

私達が使う水は、生活に使う水として目に見える水以外にも、食料
や工業製品を作るのに必要な仮想水を消費しているのです。
夕食に、200gのステーキと300gのご飯を食べると40.6トンもの水が
必要となります。500gの塩お握り(5個分)でも1トンの水です。

この考えを拡大すると
 産油国の場合、石油を売った代金で、食料を輸入できるため、
 水不足であっても仮想水の概念を考慮すると、水不足していない。
 ところが、ろくに産業がない国の場合、食料を輸入できないので、
 仮想水で水増しできない。(水不足となる)

ここで問題。
 食料を輸出している国は、自然に降った雨を他国に輸出している
 ことになるため、大丈夫かどうか検討が必要となります。
 環境に与える負荷が大きければ、長続きしません。
 下手をすると、灌漑失敗による塩害が発生してしまいます。

バーチャルウォーターは、単に人類の活動全般にわたって、水が
大量に必要なことを教えてくれます。水を有効活用することは
21世紀を生きる私達にとって、必須といえます。

橘みゆき  2006/03/26

| | コメント (0) | トラックバック (0)