2009年1月21日 (水)

マスダールプロジェクトの続報が報道された

 世界同時バブル崩壊が進展する中、石油バブルも少し遅れて崩壊しました。産油国は海外投資で大損する一方、石油収入に依存した自国の運営が厳しくなっているのが現状です。

UAEでは、ドバイが1000mのドバイタワーの建設を1年遅らせるなど、苦しい事情が日本にも伝わっています。UAEでは、石油がまだあるうちに代替エネルギーを開発して国づくりをしようという趣旨で、「マスダールプロジェクト」を実施しています。

環境関連のニュースをみていると、そのマスダールプロジェクトに日本企業も参加しています。原子力関連企業も参加していますが、代替エネルギーの実証実験を行うには、ちょうどよい規模です。

“アブダビ特需”進出相次ぐ 東電などエネルギー企業
1月20日8時32分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 東京電力など国内エネルギー企業がアラブ首長国連邦(UAE)の首都、アブダビ首長国で電力関連事業に相次ぎ参画している。2015年までに大規模な都市開発計画が進むアブダビでは、建設機械産業向けなどに大幅な電力需要の増加が予想されており、大きなビジネスチャンスと判断したためだ。

 米国発の金融危機に伴う世界同時不況で、海外の有望な投資先が狭まるなか、今後、都市開発の特需に沸くと予想されるアブダビに幅広い分野の日系企業が積極的に進出する可能性も大きい。

 アブダビは将来の石油資源の枯渇を見越して、太陽光発電など二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーで電力を賄う「マスダールシティ」と呼ばれる都市開発計画を進めている。総開発費は220億ドル(約2兆円)で15年に完成する予定だ。

 アブダビでは、同計画の進展に伴って電力需要の急激な伸びが見込まれ、現地電力大手のアブダビ水送電会社の試算によれば、最大電力は08年の583万キロワットから、12年には1170万キロワットに倍増すると予想している。

 東電は昨年9月、アブダビの送電会社と電力の送電に関する技術コンサルティング契約を締結した。大規模な送電線網の整備を予定する中、アブダビから東電側に技術協力を要請されたためだ。契約料は約1億5000万円と、同社が海外で実施するコンサルティング案件としては過去最大級。東電は将来を見越した供給計画の立案のほか、送電線のルート調査などに今年9月まで共同参画し、今後は発電所運営や省エネのためのコンサルティングも検討するという。

 コスモ石油は、東工大、アブダビの政府系機関と共同で、10年からアブダビで集光太陽熱発電の実証実験に乗り出す。今年11月をめどに「マスダール」の敷地内に実証プラントを設置する予定だ。集光太陽熱発電は太陽光を集めて発生させた熱を利用して発電する仕組みで、すでに米国やスペインで商用化されている。一般的な太陽光発電と比べて初期投資コストが高額なのが難点だが、昼間に蓄積した熱を夜間に使用でき、蓄電池が必要になる太陽光発電より利便性が高いといわれる。コスモ石油は来年4月まで蓄積する実証実験データを踏まえて早期の商用化を目指すという。

 一方、日本ガイシは大容量の電力を貯蔵し、瞬時に供給できる「電力貯蔵用ナトリウム硫黄電池」(NAS電池)を、アブダビ水利電力庁から50メガワット分受注した。受注額は100億円超。まずアブダビの中心部であるアブダビ島の複数の変電所に納入。さらに大規模太陽光発電への活用も検討するなど、日系エネルギー関連企業のアブダビでの取り組みが今後も加速しそうだ。(アブダビ 今井裕治)

砂漠の国でやる位なら、日本でやればいいのに。
日本には人もカネも技術もあるというのに。。しかも、日本に波及する実態経済の悪化で、大規模プロジェクトをやろうとしても、どんどん企業が倒産していくため、時の経過と共に、日本の持つ強みがどんどん消失していきくので、実にもったいない。

今年の3月末の決算を乗り越えられない優良な技術を持つ会社がどんどん消えていくのを止めることができないのだろうか? 今、日本に必要なのは、政治のリーダーシップによる『21世紀の日本を産み出す決断力』なのですが、みなさま御承知のとおり、迷走を続けています。先行きは明るくありません。

2009/01/21 橘みゆき 拝

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2009年1月 7日 (水)

麻生総理「日本版グリーン・ニューディール」構想策定を指示

 麻生総理が斉藤環境大臣に、景気対策として、環境関連産業を振興させ、今後5年間に環境関連産業の市場規模を現状70兆円から100兆円以上に拡大することを目標とした「日本版グリーン・ニューディール」構想の策定を指示しました。

環境投資で雇用拡大 首相「日本版グリーン・ニューディール」構想
1月6日21時57分配信 産経新聞

 麻生太郎首相は6日、斉藤鉄夫環境相と官邸で会談し、オバマ次期米大統領が提唱している地球温暖化対策と景気刺激を両立させた「グリーン・ニューディール」構想の日本版を策定するよう指示した。省エネ技術や製品の開発・普及などへの投資を促進し、二酸化炭素(CO2)排出量の抑制を図ると同時に、環境関連産業の振興を通じ雇用を創出する。今後5年程度で市場規模を現状の70兆円から100兆円以上に拡大し新たに80万人以上の雇用を創出することを目標に掲げ、3月末までに具体的な計画を策定する。

 日本版の策定は斉藤環境相が検討していたもので、この日の会談で麻生首相に素案を提示した。これに対し、麻生首相は「国民にわかりやすく、大胆に各省庁と連携してもっと拡大するように」と指示した。

 会談後に会見した斉藤環境相は「社会の変革と景気対策を一緒にやる。同じ財政出動をするなら、あるべき社会を構築することに使うべきだ。各省庁と連携して、市場規模のさらなる拡大を図りたい」と狙いを説明した。

 素案では、省エネ家電や電気自動車などの次世代エコカーの開発・普及のほか、太陽光発電や風力発電など新エネルギーの有効活用への集中投資の促進を打ち出した。

 具体的には、企業の環境投資に対する無利子融資制度の創設のほか、省エネ家電などの購入者に「エコ・ポイント」を付与するといった商店街などの環境活動や複数の人が1台の車を共有する「カーシェアリング」への支援策が盛り込まれている。

 政府は昨年7月に太陽光発電の設置を平成42(2030)年に現在の40倍に引き上げることなどを柱とした「低炭素社会づくり行動計画」を閣議決定。平成20年度1次補正予算と21年度当初予算案で設置補助に計290億円を計上した。

 太陽光発電が普及すれば、CO2排出量の削減と同時に、太陽光パネルの生産が誘発され、雇用も増える。政府は日本版の構想策定により、こうした“一石三鳥”の効果をさらに広げたい考えだ。

 世界的な景気後退が進む中、米国ではオバマ次期大統領が、景気対策として新エネルギー開発に10年間で1500億ドル(約14兆円)を投資して500万人の雇用を創出することを提唱。ドイツや韓国などでも同様の動きが広がっている。

世界同時株安が進展し、アメリカや欧州をはじめ、世界中から日本に多額のマネーが還流してきます。その結果、大幅な円高となり、輸出に頼っている製造業の業績悪化は、ほぼ約束された未来です。そのため、日本も何もしないでいると大不況となり、多くの失業者があふれてしまいます。

これを防ぐには、未来を造るための投資を大々的に行い、有効需要を喚起することが必須となります。 世界大戦規模の戦争を起こして、無駄遣いをする方法もありますが、アメリカが中東で泥沼状況になっているのをみると、あまり有効な方法ではありません。

日本には人も設備もマネーもあります。日本には人も設備もマネーもあります。ないのはリーダーの決断力と、みなさんの当事者意識です。誰かがやってくるのを待っていたのでは何も起こりません。

現在の石油に依存した文明から、水素を中心としたない新たな文明を作れるのは日本だけと言ってよいでしょう。

連山では、水素文明を産み出すのに600兆円の投資が必要だという提言がありました。「日本版グリーン・ニューディール構想」は、現状から30兆円の追加投資ですから、いかんせん規模が不足ではありますが、これをやろうという方向性を示すだけでも、なにもやらないよりははるまにマシです。

2009/01/07 橘みゆき 拝

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2008年7月26日 (土)

日本-サイパン便は定期便週28便+臨時便

7月1日よりノースウエスト航空が[成田 - サイパン]便を増便

2008年7月25日の書き込み、「全日空と日空が不採算路線の見直し」にて、サイパンでは日本航空がサイパンとの定期便を廃止したので観光収入が激減したと書きましたが、マリアナ政府観光局公式サイト(日本語)をみたところ、今年の7月1日より、ノースウェスト航空が「成田 - サイパン」便を1日1便から1日2便に増便し、日本(成田、名古屋、関西)とサイパンの直行便は週28便もありました。定期便以外にもチャーター便も飛んでいますので、もう少し上乗せとなります。古いデータを使用したのをお詫びします。
 「プレスリリースはこちら」

運航中の午前便に加え、新たに7月1日から夜便運航でダブル・デイリー体制へ
2008.5.9

北マリアナ諸島(サイパン・テニアン・ロタ)の観光プロモーションを展開するマリアナ政府観光局は、北マリアナ諸島連邦政府と共に、ノースウエスト航空がこのたび発表した本年7月1日からの成田~サイパン路線の増便を歓迎いたします。
ノースウエスト航空は関東地区における北マリアナ諸島 への旺盛な観光需要に対応すべく、本年7月1日から成田~サイパン路線を週7便、増便します。ノースウエスト航空は現在、同路線にて午前発の直行便を毎日運航していますが、新たに夜間運航便を追加することで、成田~サイパン間の直行便はダブル・デイリー、週14便体制となります。関西および名古屋から運航中の同社のデイリー便を合わせると、日本~サイパン間の直行便は週28便体制となります。
新サービスは往路が夜間発、復路が早朝発となるため、長い休暇を取らずに海外旅行を楽しみたいビジネスマンやOL 、社員旅行などの団体旅行客に対し、利便性の高いフライトスケジュールを提供します。使用機材はエアバス330-300型機で、コンフィギュレーションはワールド・ビジネスクラス34席、エコノミークラス264席の計298席です。
今回のノースウエスト航空の増便により、日本~サイパン間の座席供給数は、1ヶ月あたり8千席以上増える計算となります。新サービスの運航スケジュールは以下の通りです。

便 名   運航曜日   ス ケ ジ ュ ー ル
NW 100便  月~日曜日 成田発(8:45 p.m.) - サイパン着(翌日1:25 a.m.)
NW 99便   月~日曜日 サイパン発(5:00 a.m.) - 成田着(7:40 a.m.)
*NW 99 便は、7月2日から運航開始 *現地時間は日本+1時間


12月19日からアシアナ航空が[関西 - サイパン]便を新設

さらに7月25日のニュースで、南朝鮮のアシアナ航空が、「ソウル - 関西」便が関西空港で12時間駐機していたのを、サイパンまで往復して航空機の有効活用をすると発表したと伝えています。南朝鮮と日本からの観光客を一緒に乗せてサイパンに運ぼうとするとは、面白いことを考えたものです。関空から北マリアナ諸島へのアクセスが良くなります。夜22時位に関空を出て、サイパンに夜中の26時すぎに到着するとのこと。24時間運用可能な関西空港だからこそできる技です。サイパン空港の方も24時間運用可能にすると、北マリアナ政府が決めたのでしょう。これにより、サイパンへの日本からの観光客が増えて、北マリアナ諸島の自然に親しむと共に、財政破綻状態の北マリアナ経済が潤って、観光立国の道に歩んでいただきたいものです。グアムやサイパンは、南北アメリカ大陸や欧州に行くよりも、航空運賃が安く済むため、航空運賃の値上げで追い風になるのではないでしょうか。

橘みゆき 拝  2008/07/26

 アシアナ航空(韓国)は25日、関西国際空港発着のサイパン路線を、12月19日から週3往復で新規就航すると発表した。同社が現在就航しているソウル(仁川)-関空線で、関空に午後8時50分に到着する航空機が、翌日の午前9時半にソウルに向けて出発するまで関空で駐機しており、その間約12時間を使ってサイパンを往復する。 関空の出発時間は午後9時50分で、サイパンには午前2時20分に到着するため、利用者は現地で朝から観光できる。同社は「燃料高騰でどの航空会社も大変だが、駐機させていた航空機を有効活用することで、低いコストで就航させることができる」と話している。 また同社は、現在は週21往復(毎日3往復)で運行しているソウル路線に、9月17日から週4往復を加えて週25往復に増便する。【久田宏】

【関連HP】
  マリアナ政府観光局公式サイト(日本語)

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2008年7月25日 (金)

全日空と日空が不採算路線の見直し

航空燃料高で不採算路線の見直し

全日空や日本航空は、経費節減のため、地方と地方を結ぶ路線を中心に不採算路線について、減便や廃止を検討していることが明らかになりました。今までは地方自治体の要請や政治家からの圧力により、多少採算は取れなくても、ドル箱路線である「東京(羽田)-札幌(新千歳)」便や、「東京(羽田)-福岡」便の収益をあてていたのですが、競争が激しくなり、利益を他の路線に廻す余裕がなくなりました。高速道路網だと東名高速から揚がる利益を赤字路線に転用してしまうこともできますが、これは競争相手がいないため。航空会社は国営ではないのですから、採算がとれない路線をいつまでも抱える余裕はありません。もっとも、地方自治体が税金を投入したり、採算がとれる水準まで運賃を値上げする方法もあるので、航空会社と地方自治体や飛行場との交渉になります。こういう条件闘争は、先に条件を示した方が有利です。大阪圏は、関空・伊丹・神戸の3つが近隣にあることで、一本化している東京(羽田)、名古屋、福岡、札幌(新千歳)と比べて、条件は不利になっています。空港は作ることに意義があるのではなく、多くの人が利用することに意義があるのです。

北マリアナ諸島(サイパン)とグアムの明暗

飛行機が来なくなるとどうなるのか。観光立国であるグアムとサイパンの例を見たい。バブル時代、グアムもサイパンも日本からの観光客で経済が潤っていました。バブル崩壊の進展によって、日本からの観光客が減っていきました。サイパンの場合、グアムと比較して海岸が汚いこともあり、より深刻でした。サイパンでは日本航空がサイパン島への定期便を廃止したこともあり、観光収入が激減してしまいました。2つの観光地の明暗は、日本からの直行便があるか、ないかに起因します。今回の不採算路線の見直しで減便or廃止となる地方にとっては死活問題といえます。「原油価格の高騰」と「航空業界の自由化」に伴う副作用です。今後、海外旅行するコストが上がれば、日本人観光客が落とす金で経済を廻している多くの国・地域は、相当苦しむことは避けられません。観光立国も原油高の前には見直しを迫られます。

橘みゆき 拝  2008/07/25

 日本航空と全日本空輸が今年10月以降、不採算路線の減便、廃止などに踏み切る方向で検討している。燃料価格の高騰により、経営が圧迫されているためだ。現時点で両社合わせて20路線前後が候補として挙がっている。路線見直しに対して地元自治体や経済界の反発は強いものの、航空業界は規制緩和や格安航空会社の参入などで競争が激化している。勝ち残りに向けた航空会社の路線見直しは、さらに広がりそうだ。 航空燃料の基準価格であるシンガポールケロシンは、1バレル=170ドルを超える水準で推移しており、1年でほぼ2倍に跳ね上がった。高騰する燃料価格に対して国交省幹部は「異常な事態」と渋い表情だ。日航はシンガポールケロシンを1バレル=110ドル、全日空は同119ドルを前提に平成21年3月期の業績を立てている。燃料高が両社の収益に重しとなるのは間違いない。 経営を取り巻く環境が厳しさを増す中、2社は搭乗率が低いなどの不採算路線の見直しに着手した。
 全日空は関西発着の羽田、新千歳、那覇、女満別(めまんべつ)(北海道)の各空港を結ぶ国内4路線を減便し、中部-台北、関西-グアムの国際2路線の休止を検討。さらに、新千歳-仙台を北海道国際航空(エア・ドゥ)へ、長崎-那覇、鹿児島-那覇をスカイネットアジア航空へ移管、21年度以降も減便を検討する。 日航は福島-那覇、仙台-関西など国内7路線と、関西-ロンドン、成田-西安など国際4路線の廃止を検討中だ。
 ただ減便や廃止に対して空港を有する地元自治体からは反対の声が上がっている。今月16日には、福島県の佐藤雄平知事と沖縄県の仲井真弘多知事が日航本社を訪れ、西松遙社長に「廃止は企業活動や観光に悪影響を及ぼす」と直談判した。 しかし、平成22年の成田、羽田の発着枠拡大や、運賃設定、路線開設などが柔軟になる航空自由化の流れの中で、経営の効率化は航空会社にとって避けて通れない。「会社存続のために(路線見直しは)不可欠」(西松社長)として、両社は理解を求めていく考えだ。

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2008年7月23日 (水)

物価高は物不足の前に起こる

進む物価高

WTIの原油価格が1バレル=100ドルを超えたのは今年(2008年)初めでした。7月18日時点の終値は128.88ドルでした。直近のピークは147ドルからみると若干下げていますが、かなり高い水準です。いずれ原油価格は下がるにしても、しばらくは原油高が続きそうです。原油高は、輸送費・燃料費・材料費などのコストアップにつながります。これまで、企業努力という名のリストラを始め、コストを下げる努力をしてきましたが、もう限界です。昨年(2007年)秋、デフレが止まり、インフレに潮目が変わりました。インフレに対応する策は大きく2つに分かれます。『価格を上げる』or『品質を下げる』である。 品質を下げる方法は、輸入ギョーザ問題や産地偽装の発覚が大きな問題となったことから、持続不可能です。ある一線を越えてしまえば会社存続に関わる大問題につながります。価格を上げるを上げる方法は、買い手が必要なものしか行えません。買い手が必要だと思わないモノは実行不可能です。インフレの時代は、必要なものと、そうでないものを振り分け、社会の変化を促進させます。身の回りを見れば、生活必需品はどんどん値上げしていっていますが、自動車や家電製品、紳士服などは安くしても、さっぱり売れません。現在、この段階です。

物不足の前兆としての物価高

インフレが進むと、ある時点で、地道に生産するよりも、在庫を転売する方が利益が上がる状況になります。そうなると、「買い溜め」や「売り惜しみ」が横行し、物不足の状態になります。物不足になれば、さらに価格が上昇するため、インフレがインフレを呼び、さらに物不足が進んでしまいます。しまいには、お金を出しても、欲しいものを手に入れることができなくなる事態になります。物価高は、物不足になる前兆現象そのものなのです。

橘みゆき 拝  2008/07/23

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2008年7月21日 (月)

ガソリンの卸値決定が月1から週ごとになる

ガソリンの卸値決定

新日本石油が10月以降、週ごとに石油製品の卸値価格を決める新方式に改めることを検討しているそうです。現在、石油製品の卸価格は、毎月下旬に翌月分のガソリンなど石油製品の卸価格を改定し、発表しています。原油価格と為替レートの変動が大きくなるのに対応するため、小刻みに価格を見直して対応しようというものです。仮に、中東戦争が秋に発生し、ホムルズ海峡を封鎖され、石油価格が急変動しても、迅速に対応(この場合は、卸値の大幅UP)でき、「市場連動して決めた価格なので、便乗値上げじゃないですよ」と主張することもできます。こんなところにも、戦争の前兆を見出すこともできます。

商品相場からマネーが去れば石油バブルも崩壊する

石油会社が産油国から購入する石油は、スポット価格で買うケースは少なく、年間契約でこの値段にしようと価格交渉をして買ったり、先物やオプションを利用して、できるだけ安く購入しています。ですが、こうも原油価格が上がると、産油国の立場が強くなり、どうしても輸入コストがUPしてしまいます。世界中にあふれたホットマネーが商品相場に流れて、需給関係で決まるであろう価格を無視するように『原油バブル』となっています。今後、どんどん原油価格が上昇を続けるか否かですが、私は懐疑的です。代替エネルギーに切替えたり、エネルギー効率を上げるために設備投資をする動きが進むため、オイルショックの後に来た、石油価格の暴落&安値安定という事態も想定されるからです。また、『住宅バブル崩壊』によって進展する『世界同時バブル崩壊』or『世界同時大恐慌』により深刻な不景気によっても、石油の需要が減りますから、ホットマネーは商品相場から逃げていきます。バブルは永遠に続きません。熱狂が醒め、恐怖が広がればバブルはおしまいです。バブル崩壊のスピードは速いので、いつでも逃げられるように準備しておいた方が良いでしょう。 インフレが進む過程で、多くの人があわててインフレ対策する時に、冷静に次の手(インフレの先に来るもの)をどうしようか考える位でちょうど良いのです。

橘みゆき 拝  2008/07/21

 新日本石油は19日、月ごとに決めているガソリンなど石油製品の卸価格を、10月から週ごとに決める新方式に改めることを検討していることを明らかにした。 市場価格をもとにすることで価格決定の透明性を高めるのが狙いだ。  対象の油種はガソリン、軽油、灯油、A重油。東京工業品取引所のガソリンなどの先物相場や、調査会社が公表しているスポット(業者間転売)価格を指標に、1週間の平均価格を卸価格に反映させる仕組みにする方向だ。 新日石はこれまで、1か月間平均の原油価格と為替レートをもとに卸価格を月初めに変えていた。 しかし、スタンド側と個別交渉となるため、値決めの実態が不透明との批判があった。

【関連HP】
新日本石油の石油製品(ガソリン・灯油・軽油・A重油)の卸価格改定について (2008年06月27日)
財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター

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2008年7月17日 (木)

原油価格が134ドルまで急落

原油価格が145ドルまで上がっていましたが、さすがに米国の景気が悪化してきたため、石油の需要が減るだろうという予想をする人が増えたため、7月16日の原油価格(WTI)は、134ドルまで下がってきました。私はこの数字を見て、安心すると共にぞっとしました。ピークと比べると安くなってきていますが、原油価格(WTI)が100ドルを超えたのは、今年のお正月明け(1/2)だったことを考えると、まだまだ高い水準です。感覚のマヒというか、慣れというか、相場のマジックなのか、よくわかりませんが、相場の感覚は、通常の感覚とは違うのです。

原油に限らず、GOLDを始めとする商品相場は、なんだかよくわからない理由で価格が変動することが多いように見えます。自分の資金で先物市場に投資をしている人は、価格が急変動することでたいていの場合、大損してしまいます。自分の予測がことごとく外れ、上がると思えば下がり、下がると思えば上がるというふうに、相場から往復ビンタを食らってしまうからです。(むろん、大儲けする人もいます。数は少ないですが)

世界中のマネーがめまぐるしく走り回っているのを見ていると、そのうち世界同時バブル崩壊が進んでいく中で、文字どおり消滅してしまうのではないかと考えています。ある日ルールが変更となって、お金だと思っていたグリーンバックのドルが、真っ青のブルーバックに替わったり、ゴールドバックになったりするのではないか。マネーは信用の裏づけがある紙だとすると、ドルの裏づけは、アメリカの経済力+軍事力といったところでしょうか。アメリカの覇権が失われていくと、別のものを信用の裏づけにする必要が出てきます。商品バスケット制にするとか、金復位をするとか、やり方はいろいろあります。アメリカはかつてニクソン・ショックという形で、身勝手なルール変更を押し付けました。

今日まで通用していたルールが、明日から使えなくなる。世界史や日本史を振り返ると、そういったことは何度も行われており、時代が変化する区切りとなっています。大企業や官公庁で働いている知り合いに多いのですが、昨日の常識は、今日も明日も通用すると信じている方がいますが、そういう方は、時代の変革期には、大変苦労したというのが、歴史のパターンです。

橘みゆき 拝  2008/07/17

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2008年7月15日 (火)

燃料高騰で一斉休漁

燃料が値上げすれはお米も上がる

前回の記事(お米の復権)で、日本米が相対的に安くなったことと、肥料と燃料の価格上昇で野菜が秋には大幅値上げになるだろうと書きました。匿名の方から、日本米だって値上げされているとコメントされましたが、調べてみたらそのとおりでした。もう少し時差を置いて値上がりすると予測していたのですが。。お米だって育てるのに肥料や燃料が必要となります。食べ物のように必ず必要となるものは、インフレに連動して価格がどんどん上がっていきます。大多数の人達はインフレ率よりも収入の上昇率は低く抑えられるため、相対的に減少となるため、無駄遣いをやめたり、外食せずに自宅で食べたりするなど、支出の見直しを図ります。そうなると、必要性の低いものや、買うのを先延ばししても困らないもの、などが売れなくなります。不景気の先行指標となるのは、紳士服や家電製品、自動車などでしょう。海外旅行は無理してでも行くとしても、国内旅行は、だいぶ苦しくなります。山奥の温泉宿などは、燃料代は上がる、料理も上がる、お客さんは減るという三重苦にあえいでいます。ロードサイドのファミレスなども売上げが減っているという話も聞きます。(私の近所のファミレスは地元の人達で連日大賑わいですが、それでもピークとなる時間帯(18時から20時)を外すと、だいぶ少ないような印象です。

燃料高騰で漁師も困っている

本日(2008年7月15日)、国内のほとんどの漁船が休漁をします。燃料高騰に苦しむ漁師たちが政府に救済策を求めると、↓のニュース記事で伝えています。なんかイースター島で起こった文明崩壊の昔話を思い出します。イースター島の場合は、森林破壊が進み、大型カヌーが作るための木がなくなり、遠洋漁業ができなくなり、ついで近海漁業をするカヌーを作るための木もなくなった……。 漁船を動かすためのエネルギー源は石油がほとんどです(ヨットや帆船などは風力も併用可能です)。石油が上がれば、漁場までの往復にかかる燃料コストも上がります。でも、魚は石油の価格上昇ほど高くは売れませんので、漁師の懐が暖まりません。そこで、今回のように全国の漁師が団結して、高値で買い取ってもらうor燃料代の補填を求めることとなりました。今回の行動は漁師達の願いどおりになるでしょうか? 政府にはお金がないし、漁師も苦しければ、農家だって苦しいし、トラック運転手だって、工場経営者だって苦しい。社会主義国よろしく、1つの業界に補助金を出せば、われもわれもとなります。結局、消費者が魚を買う値段が、石油の価格上昇にリンクする形で上がるような結末になれば、ましな方ではないでしょうか。食べ物や生活必需品は、値上げしても必要だから売れるし、買わなくてはなりません。そこを欲望にまみれた人達が目をつけ、買占めたり、売り惜しみをすれば、必要以上に価格は上昇してしまいます(たぶん、そうなるでしょう)。江戸時代、大阪での米相場では、米の生産が1割減の不作の年には、米の価格は2倍に跳ね上がりました。戦争直後よろしく、闇市や地下市場ができ、都市生活者は困窮にあえぐ未来図になるかもしれません。

橘みゆき 拝  2008/07/15

 世界的な原油価格高騰を受けて15日、国内のほぼすべての漁船約20万隻が一斉に休漁する。 燃料のコスト高が続けば、漁をすればするほど赤字がかさむ事態も予想されるとして、漁師らが苦境を訴えるとともに、燃油値上がり分の補てんなど救済策を政府に求める。 休漁するのは、全国漁業協同組合連合会(全漁連)や大日本水産会など17の漁業団体に所属する漁船。全漁連などによると、漁船の燃料価格は5年前の3倍になっており、「このままでは廃業に追い込まれる」という声も出ているという。 一足早く14日から2日間の休漁に踏み切った漁港もあり、宮城県石巻市の寄磯漁港では、各漁船に窮状を訴える横断幕が掲げられた。また、北海道根室市では沿岸漁業者約300人が船外機に使うガソリンの免税を求め市内をデモ行進した。

【関連HP】
全国漁業共同組合連合会のHP
全国一斉休漁のお知らせ (319KB)

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2008年7月 8日 (火)

バイオ燃料のせいで食糧価格が6年で75%値上がり

今日は、水素文明の話からずれます。食糧価格上昇の話です。世界銀行が推計したところ、2002年から2008年2月までの6年間に食糧価格が75%上昇したそうです。この発表は、穀物相場の高騰の原因は、投機によるホットマネーによる仕業であって、バイオ燃料による影響は少ないと言っていた専門家達の意見を覆すものでした。バイオ燃料による影響でこれだけ上がったのは、生産者が食糧として売るよりもバイオ燃料の原料とした売った方が、高く売れるからです。アダム・スミスの見えざる手はここにもいました。比喩的に表現すると、金持ちが車を運転するために貧乏人が飢えに苦しむという絵になります。

海外では食糧をよこせと暴動が起こり、政権が転覆した国もあります。日本では主食の米がまだ値上がりしていないので第二次平成米騒動に至っていません。さすがに7月1日にはガソリンが1L=180円を超える等、多くの商品価格が上がり、特に生活必需品の値上げが目立ちました。お昼の番組などでは、生活費をやりくりしている主婦にインタビューしていましたが、『チラシを比べて安いところで買う』、『友人達と安売り情報を共有していきたい』などの意見が聞けました。年金生活者や所得の少ない人達が食費を倹約するにしても限度があります。戦後直後のように米をよこせとデモが発生したり、昭和19年あたりの雑誌みたいに、ベランダや家庭菜園で野菜を作りましょうという記事が出てきそうです。

日本は食糧の6割を輸入に頼っていますが、お金を出せば食糧が買えるうちはまだ良いのですが、相手の国が自国民を食わせるために輸出できなくなったと言い、禁輸状態になると、都市部に住んでいる人は食べるものがなくなってしまいます。そうなった場合は政府に文句を言っても無駄ですので、お友達や知合いなどのネットワークを通じて、食糧を手に入れたり、作ったりするしかありません。

橘みゆき 拝  2008/07/08

【ロンドン=本間圭一】 4日付の英紙ガーディアンは、世界銀行の内部報告書の内容として、2002年から今年2月の間にバイオ燃料の影響で食糧価格が推計で75%上昇したと伝えた。 欧米諸国が推進するバイオ燃料の影響は比較的少ないとされていただけに、食糧価格問題を取り上げる北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の議論にも影響を与えそうだ。 同紙によると、食糧バスケット価格は同期間に140%も上昇したが、エネルギーや肥料価格の高騰は15%の上昇しかもたらさなかった。米国のトウモロコシや欧州の植物油などが燃料用に使われたことや、それに伴い投機熱が高まったことなどが食糧価格の75%上昇につながったという。 報告書は、国際的に著名な経済学者によって今年4月に作成されたという。

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2008年7月 6日 (日)

2015年から水素ステーションが全国に整備される予定

2008年7月7日(月)から7月9日(水)にかけて、北海道サミットが行われますが、主要な議題の1つに環境問題への取り組みが話し合われます。京都議定書で合意された温暖化ガスの排出量は1990年が基準年でした。支那やインドなど1990年当時は経済発展を優先させるため削減義務の対象国から外れていましたが、温室効果ガスの排出量ではかなりの割合を占めているため、これらの国も削減義務の対象国に追加しようとする動きがとれるのか否か、世界各国から注目を集めています。京都議定書が対象とする期間(2008年から2012年まで)以降の温暖化ガス排出量の削減に向けた取り組みをどうするのかについて、議長国である日本が積極的にリーダーシップを取って欲しいところです。

 トヨタ自動車や出光興産など120の企業・団体で作る「燃料電池実用化推進協議会」(会長、西室泰三・東芝相談役)は4日、燃料電池車向けの燃料供給施設「水素ステーション」を、2015年から全国に整備すると発表した。燃料電池車は、水素を空気中の酸素と化学反応させて走り、二酸化炭素(CO2)を排出しないため「究極のエコカー」とされる。普及には水素の供給施設の整備が課題で、15年までは国が首都圏中心に数十カ所の施設を設置することが決まっており、15年以降は会員の石油元売り会社などが整備する。

出展:<燃料電池車>水素の供給施設 2015年から全国に整備 (毎日新聞)

 自動車メーカーや都市ガス、石油元売りなどでつくる燃料電池実用化推進協議会(会長=西室泰三・東芝相談役)は4日、燃料電池車と水素ステーションを2015年から本格普及させる目標を定めたと発表した。 燃料電池車は水素と酸素を反応させて作った電気で走る。地球温暖化対策に貢献すると期待される。

NHKなどの報道を見ると、北海道サミットは、多くの燃料電池車や水素車が走って、脱石油文明がもうすぐやってくることをアピールするようです。7月4日、燃料電池実用化推進協議会は、2015年から全国に水素を供給する施設(水素ステーション)を整備すると発表しました。2015年までは、国が首都圏を中心に水素ステーションを設置することが決定しているとのこと。現在、東京、名古屋、大阪に設置している水素ステーション(水素を精製して高圧でボンベに注入するタイプ)のようなものになるのだろうか? 全国展開を考慮するとガソリンスタンドをそのまま転用する方がコストが安いのですが、上記の発表内容からは読み取れませんでした。 ガソリンスタンドが水素ステーションに切り替わり、ガソリンで走る車が、燃料電池車や水素車に切り替わるようになるには、まだまだ時間がかかりそうです。それまでの間は、石油の使用量を節約するために、天然ガスで走らせたり、バイオ燃料でしのぐしかなさそうです。

橘みゆき 拝  2008/07/06

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