イタリアの地震学者、大地震を予知したが被害減らせず
イタリアでM6.3の地震発生
この地震で多くの方が亡くなりました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
イタリアで発生した地震は、震源が浅かったため、地震の揺れが大きくなり、耐震強度の弱い建物が崩壊。多くの方ががれきの下に埋まってしまい、時間の経過と共に犠牲者が増えています。
地震 イタリア中部でM6.3…建物倒壊、6人死亡
4月6日14時28分配信 毎日新聞【ローマ支局】
米地質調査所(USGS)によると、イタリア中部で6日午前3時32分(日本時間午前10時32分)ごろ、マグニチュード(M)6.3の地震があった。震源地はローマの北東約95キロで、震源の深さは約10キロ。(以下、略)
イタリア地震の犠牲者増加、がれきの下に埋まる住民数不明
4月7日21時18分配信 CNN.co.jpイタリア・ラクイラ(CNN)
イタリア中部で6日未明発生したマグニチュード(M)6.3の地震で、ベルルスコーニ同国首相は7日、これまで確認された犠牲者は207人に増えたと述べた。行方不明者は15人となっている。
ただ、崩壊した建物のがれきの下に埋もれている住民の数の把握は出来ておらず、同国の赤十字当局者は、犠牲者がさらに増える恐れがあるとも述べた。被害が甚大なラクイラは中世時代の石造建物も多く、建物倒壊が相次ぐ要因ともなった。ラクイラはアブルッツォ州の州都で人口約7万2000人。(以下、略)
イタリアの地震学者がこの地震を予知していた
この地震について、イタリアの地震学者、ジョアッキーノ・ジュリアーニさんが地震発生を予知して、地震の発生が近いことを車のスピーカーで住民に避難するよう警告してたが、パニックを広めているとしてホームページを閉鎖されたとのことです。
イタリア地震、科学者が「予知は無視された」と憤慨
4月7日17時0分配信 CNN.co.jpイタリア・ラクイラ(CNN) イタリア中部で5日に発生し、150人を超える死者が出た地震について、最も被害が大きかった当地近郊の研究所の科学者が同日、「地震発生を予知していたのに、無視された」と憤っている。
地震を「予知」していたと主張するのは、グラン・サッソ国立研究所のジョアッキーノ・ジュリアーニさん。ラドン濃度の測定結果から地震の発生が近づいているとして、3月に車にスピーカーを積んで地震が発生すると警告を出していた。
この行為が警察に通報され「ニセの警告を流した」との理由から、「予知情報」をインターネットから削除されたという。地元のニュースサイトによると、ジュリアーニさんは「私に謝罪しなければならない人々がいるはずだ。彼らは、起こった結果の重要性を知るべきだ」と、自分の警告を無視した人々を非難。
「(地震が発生した)昨夜は、誰に話していいかわからなかった。状況が悪化していることはわかっていたが、どうしようもできなかった」と話している。(以下、略)
もう1つ、参考のため、ニュース記事を紹介します。
<イタリア地震>現地学者「来る」予知 市が自粛求める
4月7日11時58分配信 毎日新聞【ローマ藤原章生】
イタリア中部で6日未明に起きた地震について、地震発生前、現地の地震学者が「大地震が来る」と当局に上申していたことがわかった。学者は自家用車のスピーカーで住民に避難を呼びかけたが、「パニックを広げる」と市に自粛を求められていた。この学者は震源地のラクイラ在住の元国家原子力研究所職員、ジャンパオロ・ジュリアーニ氏。
レプブリカ紙によると、同氏は地下の岩盤から放出されるラドンガスの量で地震を予測する仮説を提唱している。それに基づき、同氏は今年2月、ラクイラ市に「住民の避難」を呼びかけていた。
しかし市は騒乱を引き起こすと、警告を続けるジュリアーノ氏のホームページを閉じるよう命じていた。 (以下、略)
イタリアにも、ガイガーウォッチャーがいて、自分なりに活動したものの、残念ながら、地震の被害を減らすことには失敗してしまいました。
彼はなぜ失敗してしまったのでしょうか?
「狼少年」の童話の最後の場面で、「狼が来たぞ」と何度も村人を驚かせていた少年が、本当に狼が来たとき、「狼が来たぞ」と言っても、村人は信じなかったというエピソードと、どこか似ています。
狼少年は村人から信頼されなかったことと、村人は狼が来たときに備えて対策を打たなかったこと、この2点が重なったことで、最後は羊が食われてしまう事態になりました。
イタリアの地震学者は、できることはやったのですが、残念なことに、仲間がいなかったとか、言った情報を信じてもらえなかった。そのため、せっかく地震発生の予知に成功したのに、多くの死者を出してしまいました。
・・・カサンドラの悲劇みたいです。
今回のイタリアの地震で、200人以上の方が亡くなり、いまも増え続けています。彼らの犠牲を無駄にしないため、「地震の予知に成功したのに無視された」ということから、教訓を得なければなりません
1.単独でやっても限られたことしかできない。
2.仲間と連携すれば、小さな力も、大きなうねりとすることができる。
3.仲間以外の人が理解できるように、事前に説明しておくことが必要である。
4.地震の予知に成功したとしても、命は助かるが、建物の崩壊を防ぐことはできない。
5.地盤の歪みにより発生するラドンガスやイオンを継続して観測していれば、ある程度の大きな地震の予知には有効である。
そして最も重要な教訓は「地震が発生してからでないと地震予知した情報は無視される」ということです。
地震の起こりやすい地域に住んでいる人は、いまの場所に住み続けたいのであれば、家の耐震強化を行い、防災用品や水、食糧などを準備し、いつ災害が発生しても大丈夫なように準備をすべきことは山ほどあります。
近くに運転中の原子力発電所があった場合、止めても、高温高圧の水が冷えるまで3日かかります。地震の1分前に緊急停止しても間に合いません。
先日、中越沖地震で、柏崎原発を地震が直撃しましたが、大量の放射能が漏れるという最悪の事態とはなりませんでしたが、今後もそのような幸運が続くと期待するほうが間違っています。
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所沢での放射線量2.4μSv/hrを観測した直後の写真
【埼玉県所沢市での放射線量測定値】2009年04月05日 20:55-21:01
1分間平均 1.060μSv/Hr (2.470、1.369、1.482、0.407、0.346、0.286)
久々に 2.4μSv/hrをこえました。
これは浅間山噴火前(2009年2月)と比べた通常レベル 0.2μSv/hr の10倍以上、浅間山噴火後と比べた最近のレベル 0.3μSv/hr の8倍以上となるレベルです。
ガイガーカウンターは、楽天なり、アマゾンなり通販サイトで購入できます。ネットを探せば、海外の割安なガイガーカウンターを手に入れることもできます。
電力会社や地方自治体が発電所の周辺に放射線観測網を作っていますが、こんなものは、地域停電があれば、データを送ることができなくなりますし、インターネットで公開しているページも、アクセスが集中して、サーバーがダウンしてしまうことが想定されます。
本当に必要な情報こそ、手に入らないものです。
結局は、自前で測定機を用意したり、信頼できる仲間達と情報を共有して、放射能の雲がどこを移動しているのか把握したりしないと、いざというとき役に立ちません。
自ら動くことなく、善意の誰かが教えてくれると期待していると、誰もうごかず、必要な情報は何も得られません。
2009/04/08 橘みゆき 拝
【関連HP】
カサンドラの悲劇 兵隊よりも士官になろう (2008年10月17日)
ガイガーウォッチャーに志願する方は、水素文明を産み出す士官学校MLの窓口となっている連絡先にメールするか、このブログのコメントで意思を示していただきたい。
内容は、私が管理している2つのブログ「水素文明への転換」と「兵隊よりも士官になろう」に関連した話題が中心です。
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コメント
初めまして。有用な情報ありがとうございます。
ところで、上記に
>ラドン濃度の測定結果から地震の発生が近づいているとして
とありました。
それで、素朴な疑問がわいてきました。
別のサイトで、現在、地震を予知する方法で、大気に+イオンが発生している事を調べる事によって、予知する方法があるということで、測定器とか見させていただきました。
また、この記事によって、ガイガーカウンターによって調べるという方法もあるということで、参考になりました。
それでもしご存知で、よろしければ、お教え願いたいと思うのですが、ラドンガスが、+イオン発生と関係している点については、納得いくのですが、その両方を測定し、どれくらいのラドンガスがあるので、どれくらいの+イオンが発生するというようなデーターとか参考資料とか、ご存知でしょうか?
またガイガーカウンターで検出しているのは、放射能だと思うのですが、それがなぜラドンガスであると分かるのでしょうか?
もう一つの疑問は、ガイガーカウンターは、放射能を検出するはずのセンサーですが、これは大気中の+イオンには、全く無反応なのでしょうか?
科学にあまり詳しくないので、ひょっとして見当違いな質問をしているのかもしれませんが、よろしくお願いします。めんどくさかったら無視でもOKです。
ありがとうございました。
投稿: ぱぱにゃ | 2009年8月13日 (木) 08:00
はじめまして。
避難を呼びかけたイタリアの学者ジャンパオロ・ジュリアーニ氏、偉いと思いました。
この教訓が生かされるといいですね!
投稿: yuzou | 2009年4月30日 (木) 16:06