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2008年9月29日 (月)

イギリスの銀行B&Bが国有化

預金取付け回避を優先

 イギリスの銀行、ブラッドフォード・アンド・ビングレー(B&B)が経営破たんし、一時的に国有化されることが決まりましsた。総資産10兆円規模ですので、日本でいうと地方銀行上位行の規模となります。昨年9月、ノーザン・ロック銀行が破たんした際、取りつけ騒ぎが起き、今年の2月に国有化が決定して以来、2行目となります。今回も、イギリスはペイオフを実施せず、預金を全額保護する方針とのことです。

【ロンドン=是枝智】 英政府は28日、英中堅銀行ブラッドフォード・アンド・ビングレー(B&B)を一時国有化する方針を決めた。 同日中に正式発表する。英メディアが一斉に報じた。米金融危機の余波による事実上の経営破綻(はたん)となる。国有化は2月の中堅銀行ノーザン・ロックに次いで2行目。預金は全額保護される。 B&Bの総資産は6月末で522億ポンド(約10兆円)で日本の地銀上位行並みの規模がある。住宅ローンや投資用不動産の取得向け融資を主に手がけてきた。預金流出がここ数日で数千万ポンド(数十億円)に達し、資金繰りが急速に悪化した。 英監督当局がスペイン最大手銀行のサンタンデールなどと救済交渉を進めており、約200の支店や約240億ポンドの預金は譲渡される見通しだ。 B&Bは今春から経営不安をささやかれていた。7月に増資を決め、いったんは危機を乗り切ったが、米リーマン・ブラザーズの破綻などを受け信用不安が再燃した。株価は1か月前の半分以下に急落し、26日の終値は上場以来最安値となる20ペンスだった。

経営破たんする金融機関は、ある日突然破たんするというケースもありますが、たいていは、「あそこはあぶない」という経営不安のウワサがたったり、株価が額面割れとなったり、格付けが落ちるなどの前兆があります。10年くらい前の日本と同じです。銀行が経営破たんするのは、銀行の信用が落ち、インターバンク(銀行間取引)で必要な資金が調達できなくなったり、少数の大口預金者が預金を全額引き出すといったことが起こり、預金の流出が止まらないといったことにつながった場合です。毎週アメリカの銀行や証券会社がバタバタと破たんしたり合併されたりしていますが、住宅バブル崩壊はアメリカだけ発生しているのではなく、世界中で発生しているので、金融機関が抱える不良債権は世界中で膨らんでいます。ですので、2000年以降、日銀がゼロ金利政策で世界中にばらまいたマネーによる世界同時バブル発生は、去年くらいから世界同時バブル崩壊となり、現在に至っています。

中央銀行はマネーを刷って刷って刷りまくる

イギリスですらペイオフできず全額保護した
1990年代後半、日本の金融機関は信用組合から始まって、北海道拓殖銀行や日債銀のような大手銀行まで経営破綻し、何度も取り付け騒ぎが起きました。最初は金融機関でお金を出し合い、預金を全額保護してきました。大蔵省主導で混乱を最小限にする動きを海外の連中は、さんざん非難し、ジャパンプレミアムというペナルティをつけていた。あれから10年、アメリカもイギリスも自国の金融システムがグラグラしてくる中で、自分達が主張している市場主義による「ペイオフによる自己責任」をいまこそやっていただきたいものです。・・・と思って、生暖かい目でみていたら、9月14日、イギリスの金融機関、ノーザン・ロックで取り付け事件が発生するに至り、金融当局は「預金の全額保護」を宣言する事態に追い込まれてしまった。

今回はイギリスの銀行でしたが、欧州、南米、豪州、東南アジア、中東の産油国、ロシア、支那、そして日本。どこの銀行も世界同時バブル崩壊の影響で、多額の損失を抱えてしまいました。アメリカやロシア、支那でしたら軍隊を使って預金者を追い返すこともできるのでしょうが、日本をはじめ多くの国では無理というものです。そのため、預金解約を求める人々にお金を渡して帰っていただくしか選択肢がありません。
各国の中央銀行がマネーを刷って刷って刷りまくるしか、解決策がないのです。その結果、1930年代の大恐慌では、中小銀行から大銀行へマネーが集中し、大企業による寡占化が進みました。当時、金本位制度を採用していた国は、次々に離脱していきました。
各国が自国の産業を保護するため、自由貿易体制は縮小を余儀なくされ、植民地を持つイギリスやフランスはブロック経済圏をつくり、植民地のないドイツと日本はたいへん苦労しました。食うために移民として活路を見出す人も大勢いました。
今後、どうなるのかについては、去年9月にノーザン・ロック銀行に取りつけ騒ぎが起こった際、連山に投稿したコラムに、以下のように書いています。

本来であれば、債務超過になった銀行を潰して、ペイオフを粛々と行えばよいのですが、預金者は手元にお金が来るまで帰りませんでした。お金をどんどん刷って刷って供給するしかないわけです。そうすると、やってくるのはハイパーインフレとなるわけですが、石油やGOLDを始めとする実物資産にマネーが逃げて、さらにインフレに拍車をかける。混乱を収めるには、多くの血が流れるのは避けられません。日本の場合、バブル崩壊が始まってから銀行が破綻するまで5年くらい時間的余裕がありましたが、今回は1年経過していません。欧米諸国はドッグイヤーだから事態が進む速度が速いという側面もあるのでしょうが、かつての日本みたいに、穴を掘って簿外に隠すということができないため、損失を隠せず、仕方なく他の資産を売却して穴埋めをしたら、別の会社が損失を出すといった、核分裂反応みたいに損失がどんどん広がるような印象です。いずれ落ち着いたら21世紀のペコラ委員会のように、原因はどこにあったのかということを調べて、再発を防止する仕組みを作ることになるのでしょうが、資本主義の仕組みにいろいろ足かせをして暴れるのを抑えるようにしないと、同じような悲劇は繰り返されるだろう。チューリップバブル以降、何度もバブルができては崩壊したのだから。

インフレが来て物価が上がるけど、収入は増えないのでエンゲル係数が急上昇して、家族を食わすのがやっとという時代が来るというわけだ。食えなくなった人が増え、奪い合いをする局面も想定されます。こういう時代はお金持ちは強盗にあったり殺されたりするので、けっこう大変です。

2008/09/29 橘みゆき 拝

【関連コラム(連山へ投稿したコラム)】
 香港の東亜銀行で取り付け騒ぎ発生 2008/09/25
 イギリスですらペイオフできず 2007/09/21

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