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2008年9月30日 (火)

米下院が緊急経済金融安定化法案を否決

7000億ドルの公的資金投入に反発

 アメリカ議会で7000億ドルの公的資金を投入して不良債権を買い取る緊急経済安定化法案を否決しました。時事通信によると、共和党の保守派が反対に回ったため、賛成205、反対228だったとのこと。アメリカ大統領選挙と一緒に下院議員も選挙が行われるため、巨額の公的資金を投入するこの法案に賛成した場合、地元の支持者を説得できないと判断したのでしょう。1週間くらい後に、修正法案を引っ張ってきて可決するにしても、今日は世界中の市場が大きく下げるのは避けられないでしょう。

【ワシントン=矢田俊彦】米下院は29日、米政府による不良資産の買い取りを柱とした緊急経済安定化法案を否決した。 巨額の税金を投入して金融機関を救済することに国民の反発が強く、選挙を控えた下院議員の投票動向に影響を与えた模様だ。 これを受け、ニューヨーク株式市場は急落し、先週末比の下げ幅が一時、700ドルを超えた。各国の金融市場でも大きな動揺が広がる可能性がある。 緊急経済安定化法案は、最大7000億ドル(約74兆円)の公的資金を投入し、金融機関から不良資産を買い取る内容だ。巨額の税金投入となるため、米議会の反発が強く、特に、下院共和党は公的資金を使わずに不良資産を分離する対案まで示していた。調整は難航したが、米政府と議会指導部は28日、国民負担の軽減を図る修正案で合意していた。

住専に対する公的資金投入で日本の議会は大騒ぎしていたのだから、アメリカだって、すんなり通らないのは予想の範囲内です。北欧の銀行とかが破たんしたり、シティがワコビアを21億6000万ドルで買収(という名目の救済)をして公的資金の投入を受けたりとなんでもありといった状態です。広がる信用不安はインターバンクによる資金調達機能を低下させ、危ない金融機関は今月末(つまり今日)の資金繰りをつけるのに必至です。 ドルの資金繰りをつけるため、各国の中央銀行(特に日銀)がマーケットにドルをふんだんに供給してなんとか崩壊しないようにするでしょうが、円高ドル安が進むのは避けられず、日本の株価も下がるでしょう。 9月末の資金繰りをどうにかこえても、来月は、21世紀の大暴落という局面を見ることができそうです。

【記録】 NY市場の終値(9/29)

 NYダウ 10,365.45(-777.68/-6.98%)
 NASDAQ 1,983.73(-199.61/-9.14%)
 CME225  11,250(-870) 安値は-1000円安の11,120
 1$=104円ちょうど、1ユーロ=150円前後
 WTI 95.60(-11.29/-10.56%)
 GOLD 911.50(+23.00/+2.59%)

2008/09/30 橘みゆき 拝

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2008年9月29日 (月)

イギリスの銀行B&Bが国有化

預金取付け回避を優先

 イギリスの銀行、ブラッドフォード・アンド・ビングレー(B&B)が経営破たんし、一時的に国有化されることが決まりましsた。総資産10兆円規模ですので、日本でいうと地方銀行上位行の規模となります。昨年9月、ノーザン・ロック銀行が破たんした際、取りつけ騒ぎが起き、今年の2月に国有化が決定して以来、2行目となります。今回も、イギリスはペイオフを実施せず、預金を全額保護する方針とのことです。

【ロンドン=是枝智】 英政府は28日、英中堅銀行ブラッドフォード・アンド・ビングレー(B&B)を一時国有化する方針を決めた。 同日中に正式発表する。英メディアが一斉に報じた。米金融危機の余波による事実上の経営破綻(はたん)となる。国有化は2月の中堅銀行ノーザン・ロックに次いで2行目。預金は全額保護される。 B&Bの総資産は6月末で522億ポンド(約10兆円)で日本の地銀上位行並みの規模がある。住宅ローンや投資用不動産の取得向け融資を主に手がけてきた。預金流出がここ数日で数千万ポンド(数十億円)に達し、資金繰りが急速に悪化した。 英監督当局がスペイン最大手銀行のサンタンデールなどと救済交渉を進めており、約200の支店や約240億ポンドの預金は譲渡される見通しだ。 B&Bは今春から経営不安をささやかれていた。7月に増資を決め、いったんは危機を乗り切ったが、米リーマン・ブラザーズの破綻などを受け信用不安が再燃した。株価は1か月前の半分以下に急落し、26日の終値は上場以来最安値となる20ペンスだった。

経営破たんする金融機関は、ある日突然破たんするというケースもありますが、たいていは、「あそこはあぶない」という経営不安のウワサがたったり、株価が額面割れとなったり、格付けが落ちるなどの前兆があります。10年くらい前の日本と同じです。銀行が経営破たんするのは、銀行の信用が落ち、インターバンク(銀行間取引)で必要な資金が調達できなくなったり、少数の大口預金者が預金を全額引き出すといったことが起こり、預金の流出が止まらないといったことにつながった場合です。毎週アメリカの銀行や証券会社がバタバタと破たんしたり合併されたりしていますが、住宅バブル崩壊はアメリカだけ発生しているのではなく、世界中で発生しているので、金融機関が抱える不良債権は世界中で膨らんでいます。ですので、2000年以降、日銀がゼロ金利政策で世界中にばらまいたマネーによる世界同時バブル発生は、去年くらいから世界同時バブル崩壊となり、現在に至っています。

中央銀行はマネーを刷って刷って刷りまくる

イギリスですらペイオフできず全額保護した
1990年代後半、日本の金融機関は信用組合から始まって、北海道拓殖銀行や日債銀のような大手銀行まで経営破綻し、何度も取り付け騒ぎが起きました。最初は金融機関でお金を出し合い、預金を全額保護してきました。大蔵省主導で混乱を最小限にする動きを海外の連中は、さんざん非難し、ジャパンプレミアムというペナルティをつけていた。あれから10年、アメリカもイギリスも自国の金融システムがグラグラしてくる中で、自分達が主張している市場主義による「ペイオフによる自己責任」をいまこそやっていただきたいものです。・・・と思って、生暖かい目でみていたら、9月14日、イギリスの金融機関、ノーザン・ロックで取り付け事件が発生するに至り、金融当局は「預金の全額保護」を宣言する事態に追い込まれてしまった。

今回はイギリスの銀行でしたが、欧州、南米、豪州、東南アジア、中東の産油国、ロシア、支那、そして日本。どこの銀行も世界同時バブル崩壊の影響で、多額の損失を抱えてしまいました。アメリカやロシア、支那でしたら軍隊を使って預金者を追い返すこともできるのでしょうが、日本をはじめ多くの国では無理というものです。そのため、預金解約を求める人々にお金を渡して帰っていただくしか選択肢がありません。
各国の中央銀行がマネーを刷って刷って刷りまくるしか、解決策がないのです。その結果、1930年代の大恐慌では、中小銀行から大銀行へマネーが集中し、大企業による寡占化が進みました。当時、金本位制度を採用していた国は、次々に離脱していきました。
各国が自国の産業を保護するため、自由貿易体制は縮小を余儀なくされ、植民地を持つイギリスやフランスはブロック経済圏をつくり、植民地のないドイツと日本はたいへん苦労しました。食うために移民として活路を見出す人も大勢いました。
今後、どうなるのかについては、去年9月にノーザン・ロック銀行に取りつけ騒ぎが起こった際、連山に投稿したコラムに、以下のように書いています。

本来であれば、債務超過になった銀行を潰して、ペイオフを粛々と行えばよいのですが、預金者は手元にお金が来るまで帰りませんでした。お金をどんどん刷って刷って供給するしかないわけです。そうすると、やってくるのはハイパーインフレとなるわけですが、石油やGOLDを始めとする実物資産にマネーが逃げて、さらにインフレに拍車をかける。混乱を収めるには、多くの血が流れるのは避けられません。日本の場合、バブル崩壊が始まってから銀行が破綻するまで5年くらい時間的余裕がありましたが、今回は1年経過していません。欧米諸国はドッグイヤーだから事態が進む速度が速いという側面もあるのでしょうが、かつての日本みたいに、穴を掘って簿外に隠すということができないため、損失を隠せず、仕方なく他の資産を売却して穴埋めをしたら、別の会社が損失を出すといった、核分裂反応みたいに損失がどんどん広がるような印象です。いずれ落ち着いたら21世紀のペコラ委員会のように、原因はどこにあったのかということを調べて、再発を防止する仕組みを作ることになるのでしょうが、資本主義の仕組みにいろいろ足かせをして暴れるのを抑えるようにしないと、同じような悲劇は繰り返されるだろう。チューリップバブル以降、何度もバブルができては崩壊したのだから。

インフレが来て物価が上がるけど、収入は増えないのでエンゲル係数が急上昇して、家族を食わすのがやっとという時代が来るというわけだ。食えなくなった人が増え、奪い合いをする局面も想定されます。こういう時代はお金持ちは強盗にあったり殺されたりするので、けっこう大変です。

2008/09/29 橘みゆき 拝

【関連コラム(連山へ投稿したコラム)】
 香港の東亜銀行で取り付け騒ぎ発生 2008/09/25
 イギリスですらペイオフできず 2007/09/21

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2008年9月26日 (金)

ドル資金調達に翻弄する国際市場

MMFが原本割れして残高急減

トリプルAの格付けを持つ債券ですら価格が大幅に下落する中、MMFが元本われとなる事態となり、アメリカの金融機関から一斉に引き出されました。一種の取り付けです。アメリカ政府による500億ドルの価格補償(損失補てん?)の方針が出されて、取り付けの動きは止まりましたが、要注意です。

[ニューヨーク 24日 ロイター] 米アイマネーネット社が24日発表したマネーファンド・リポートによると、大手MMFによる元本割れを背景に、マネー・マーケット・ファンド(MMF)資産は9月23日までの1週間に1205億ドルの資金流出となった。これは過去最大規模。  ただその大半は、政府による最大500億ドルのMMF保証措置が発表される以前の先週に起きたもので、今週22、23日の2日間は合計約195億ドルの資金流入となった。  課税のMMF資産は914億ドル減の2兆8390億ドル、非課税のMMF資産は290億ドル減の4864億ドル。 MMF「リザーブ・プライマリー・ファンド」は先週、リーマン・ブラザーズ・ホールディングス

の発行した証券への投資で損失を出し、ファンドの基準価格が1ドルを割り込んだことを明らかにした。米MMFが元本割れを起こしたのは14年ぶり。



支那はドル流出防止策を指示した

 アメリカは外国からマネーの流入がないと貧血状態となります。マネーは日本、欧州、支那、中東などから調達します。欧州は住宅バブル崩壊でNG。中東は石油価格が急落して一休み。となると、日本と支那からマネーをひっぱるしかありません。日本は、粛々とマネーを出していますが、支那は「ちょっとまった!」と言っています。もっとも支那も北京五輪後の不景気&不動産バブル崩壊をしていますので、国内からドルが大量に流出すると、支那経済そのものもガタガタとなってしまうという事情も大きな要因の1つです。

[北京 25日 ロイター] 香港の英字日刊紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは25日、中国の銀行監督当局が国内銀行に対し、金融危機のあおりで損失が出るのを回避するため、米国の金融機関に対する銀行間(インターバンク)貸し出しを停止するよう指示したと報じた。 同紙は複数の業界関係者の話として、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)からの指示は米銀向けのあらゆる通貨での銀行間貸し出しに適用されるが、米国以外の国の銀行は対象になっていないと伝えている。 同紙は「今回の指示は、本土の大手金融機関の信用危機へのエクスポージャーが数十億ドル規模に上るとの報告を受け、中国政府が深刻化する米国の金融危機に対し、自己防衛に入ろうとする最初の動き」と解説している。


[上海 25日 ロイター] 中国の銀行トレーダーらによると、世界的な金融危機を背景に、同国の一部の銀行は銀行間(インターバンク)市場での外国銀行への貸し出しを削減している。 ただ、取引は継続しており、外銀は引き続き、営業可能な状態にあるという。 国内外の銀行トレーダーによると、米銀とそれ以外の一部の外銀は、市場での資金調達がより困難になっている。  3人のトレーダーが明らかにしたところでは、多くの国内銀行がリスクに対する不透明感を理由に、米銀への人民元、およびそれ以外の通貨建てでの新規貸し出しを一時的に停止した。 米銀上海支店のディーラーは「今週に入り、中国の銀行からの資金借り入れが困難になっている」と述べた。 ただ、複数の関係者によれば、米金融機関が資金へのアクセスを完全に絶たれたわけではない。 シティグループの中国部門は「通常通りに営業している」とし、中国国内での預貸率は法で定められた最高水準の75%を「大きく下回っている」と述べた。

 日本銀行は24日、金融機関同士で資金を貸し借りする短期金融市場に300億ドル(約3兆2000億円)のドル資金を供給するため、入札などの手続きを行った。25日から、1か月後に返済する約束で金融機関に貸し付ける。  日米欧の6中央銀行による協調策に基づく措置で、日銀によるドル資金の供給は初めてだ。米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)などに伴い、外資系金融機関を中心にドルの調達が困難な状況が続いていることに対応する。  資金の貸借を仲介しているセントラル短資によると、外資系金融機関が短期金融市場でドルを借りる場合の金利は、年4%程度に高止まりしている。指標となるロンドン銀行間取引金利を1%近く上回る水準だ。日銀は11月まで計5回、総額1100億ドル(約11兆6600億円)を供給して外資系金融機関などの資金調達を支援する方針だ。  一方、日銀は24日、短期金融市場に1兆5000億円を即日供給した。円の即日供給は、「リーマン・ショック」直後の16日以降、6営業日連続で、総額14兆円に達した。  外資系金融機関が資金を取りにくい状況は円でも同様で、国内金融機関より0・4%近く高い年0・55%前後での円資金調達を強いられている。



香港で取り付け騒ぎ発生

 地場最大手の東亜銀行(BEA)で24日、市民の取り付け騒ぎが起きた。米国発の金融危機で財務危機に陥っているとのうわさが飛び交ったためで、同行の域内各支店では同日午後、預金者による長蛇の列ができた。ただし、同行、香港金融管理局(HKMA)が共にうわさを全面否定、冷静な対応を取るよう呼びかけた。 ノースポイントのキングスロード沿いの支店では午後5時時点で、支店内に人があふれ、店舗前の歩道には長蛇の列ができた。騒動に発展しないよう警官2人が店舗前に立ち、事態を見守った。セントラルの支店でも預金者が詰めかけ、報道陣などが駆けつける事態となっていた。 取り付け騒ぎの発端は、23日午後。携帯電話のショートメッセージ(SMS)で、「米証券大手リーマン・ブラザーズが突然死し、東亜銀行も危機に陥っている」との情報が広がった。東亜銀は同日夜にはHKMAと警察に通報した。 HKMAの任志剛(ジョセフ・ヤム)総裁は24日夕、東亜銀行の自己資本比率は14%以上あり、キャッシュフローも十分として、「うわさはまったく根拠がない」と全面否定。「仮に東亜銀が必要とすれば、当局として全力で支援する」と踏み込み、火消しに努めた。市民に対しても「米国の金融危機に取り乱してはいけない。冷静さを保ってほしい」と語った。 東亜銀も声明を発表し、「うわさは事実無根」と強調。リーマン向けの融資額は4億2,280万HKドル(約57億円)、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)向けは4,990万HKドルであることを明らかにした。同行の6月末時点の総資産は3,966億HKドル。 同行は市民の動揺を抑えるため、同日は支店の営業時間を30分延長した。<香港>


【香港24日時事】 香港で24日、地場銀行最大手の東亜銀行が資金難に陥ったといううわさが流れて同行の株価が急落し、預金の取り付け騒ぎが起きた。 米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)など米金融危機に関連して、同行が大きな損失を被ったのではないかとのうわさが広がったためとみられる。 東亜銀行は緊急記者会見を開いて、うわさを否定。香港金融管理局(HKMA)の任志剛総裁も記者団に「うわさには全く根拠がない」と述べ、預金者に冷静な対応を呼び掛けた。 同行の株価はこの日、6.8%下落した。香港中心部の湾仔にある支店に約200人が押し掛けるなど、各支店で預金者の長蛇の列ができた。

アメリカ、イギリスに続いて、香港でも銀行取り付け騒ぎが発生しました。預金者が抱いている不安が大きくなっているからなのですが、日本は対岸の火事というわけにもいきません。マネーの出所となっている日本が最終的には最も影響を受けるのは避けられませんので、いずれ日本の銀行も取りけ騒ぎを起こすと思っていたほうがよいでしょう。政府やマスコミの言うことよりも、歴史に学び、自分が信じることを行動すべし!

橘みゆき 拝  2008/09/26

香港の東亜銀行で取り付け騒ぎ発生 2008/09/25に連山へ投稿したコラム

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7000億ドルの公的資金投入でも焼け石に水

どんどん増えるサブプライム関連の損失

 米国住宅バブル崩壊が進むに従って、サブプライム関連の損失がどんどん膨らんできている。9月24日、IMFのリプスキー筆頭副専務理事はサブプライムローンに関連した金融機関における損失は1兆3000億ドルに達すると発表しました。個人投資家や企業・年金基金などの機関投資家が抱えた損失はこれに含まれません。米国の住宅価格が上昇に転じて、再び住宅バブルが来ない限り、損失は雪だるまのように増えていきます。

【ワシントン=矢田俊彦】 国際通貨基金(IMF)のリプスキー筆頭副専務理事は24日の講演で、低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」関連の金融機関の損失が、世界全体で1兆3000億ドル(約137兆8000億円)にのぼるとの見通しを示した。 IMFは今月上旬、サブプライム関連の損失を世界全体で1兆1000億ドルとの試算を示していたが、さらなる金融不安の広がりにより、損失額を拡大させた。



ブッシュ大統領、金融危機の現状を訴える

 ブッシュ大統領は、金融システムを安定化させるために、7000億ドルもの公的資金を投じるために、アメリカ議会に法案の可決を求めています。トッド上院銀行委員長が法案に懸念を示しただけでNYダウが下落してしまうほど、市場関係者はこの法案に期待をかけていますが、ファニーメイやフレディマックが抱える住宅ローンは500兆ドルに達していますし、CDSなどのデリバティブ取引は、6000兆ドルまで膨らんでいます。7000 億ドルは巨額ですが、6000兆ドルの前には焼け石に水です。拝金主義と化した現在の金融システムが破たんするのを多少延期する効果以上のことを期待しない方が良いのかもしれません。

【ワシントン=渡辺浩生】 ブッシュ米大統領は24日、ホワイトハウスでテレビ演説し、公的資金を投じる総額7000億ドル(約74兆円)の金融安定化策について、「議会が行動を起こさねば、米国は金融恐慌(パニック)に陥り、苦痛のシナリオが展開される可能性がある」と述べ、金融危機拡大と景気の一段の悪化を阻止するため、国民の理解と早急な法案可決を訴えた。 大統領が特定の問題でテレビ演説を行うのは異例。大統領は、共和党のマケイン上院議員、民主党のオバマ上院議員の両大統領候補を25日、ホワイトハウスに招き、超党派で対応を協議する考えも明らかにした。 米政府が19日に発表した金融安定化策は、26日までの可決をめざし、議会で大詰めの審議が続いているが、共和、民主両党から「税金による金融機関の救済」との批判が上がり、ポールソン財務長官も議会の説得に苦しんでいる。 大統領は、米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)を契機に深刻化している金融市場の混乱について、「米国は金融危機の渦中にある。市場は機能せず、信用喪失が広がり、多くの銀行が破綻する可能性もある」と述べて、これまでにない厳しい見方を示し、金融安定化に対処しなければ「数百万の雇用が失われ、長く痛みの多いリセッション(景気後退)に陥る可能性もある」と訴えた。 7000億ドルの税金を投入する安定化策に対し、世論の厳しい批判があることについて、大統領は理解を示す一方、米経済は「重大な試練に立ち向かっている」と語り、安定化策が可決されなければ、「あとから、さらに大きなコストがかかる」と訴えた。 一方、大統領は政府による不良資産買い取りについて、超党派の監督委員会を設置する考えを示した。ポールソン財務長官も同日、下院金融サービス委員会で、金融機関の経営者に対して報酬の制限を設けるべきという議会の要求に応じる考えを示した。

【ワシントン=矢田俊彦】 国際通貨基金(IMF)のリプスキー筆頭副専務理事は24日の講演で、低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」関連の金融機関の損失が、世界全体で1兆3000億ドル(約137兆8000億円)にのぼるとの見通しを示した。 IMFは今月上旬、サブプライム関連の損失を世界全体で1兆1000億ドルとの試算を示していたが、さらなる金融不安の広がりにより、損失額を拡大させた。



アメリカの3大自動車メーカーも青色吐息

 アメリカの景気の悪化と、石油価格高騰の影響で、アメリカで自動車がさっぱり売れなくなっています。給料が減れば、支出を削るのは当然で、その中でも燃費の悪いアメリカ車よりも日本車へのシフトが進んでいますし、自動車そのものの購入を先送りするため、GMを初めとするBIG3は、苦しんでいます。バイオ燃料や水素、燃料電池車を開発するために巨額な資金を必要とする理由で、アメリカ政府は250億ドルの低金利融資を行うことにしました。ですが、新技術の開発する余裕はないわけで、苦しい現状では事業継続のための運転資金に流用されそうです。来年に蒔くタネを冬に食べてしまう愚かな行為です。雇用の確保という大義名分がありますから、救済資金の追加があると踏んでいるのでしょう。金融機関の危機ばかり強調されていますが、産業界全体が不景気でたいへんきびしい状況になっていることを忘れてはなりません。

【ニューヨーク24日時事】 米ビッグスリー(3大自動車メーカー)向け支援予算が盛り込まれた暫定予算決議が24日、米下院で採択された。上院でも月内に採択される見通しで、250億ドル(約2兆7000億円)に上る低利の政府保証融資が実行に移される。ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーの3社が目先、資金繰り難に陥る事態は回避される見込みとなった。 同融資は昨年末に成立したエネルギー関連法に基づく措置で、環境対応車生産のための設備投資費用として認められていたが、融資実施には貸し倒れに備えた議会の予算承認が必要だった。上院での承認後、融資は実行される。ただ実際には、当面の運転資金に充てられる「救済」の色合いが濃く、国民の間から批判の声が上がる可能性もある。

アメリカは毎年1000億ドルのマネーを海外から流入させることで、貿易赤字を穴埋めし、世界中からモノを買って、世界各国の景気を支えています。アメリカがこけると、アジア各国を中心にモノが売れなくなって不景気となります。また、アメリカはBRICS諸国を中心に巨額のマネーを投じています。アメリカの金融システムが苦境になると、資金ぐりをつけるため、世界中に投資したマネーを急速に回収します。1990年代後半に発生したアジア通貨危機をもっと大規模な危機が発生しても、なりふりかまわずです。いま、世界の金融システムは、大荒れする前夜といっても良い状況です。

橘みゆき 拝  2008/09/26

香港の東亜銀行で取り付け騒ぎ発生 2008/09/25に連山へ投稿したコラム

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2008年9月16日 (火)

この世は平家物語の如し

アメリカの金融システムが崩壊寸前

日本は敬老の日でお休みの 2008年09月15日。お月見でもしようかという気分を吹き飛ばす出来事がアメリカでいくつかありました。

(1) 米証券大手リーマンが経営破綻=巨額損失引き金、破産法申請へ-救済協議が決裂 (時事通信)
(2) リーマン日本法人資産に国内保有命令、破綻受け金融庁 (読売新聞)
(3) AIG、FRBに異例の支援要請=経営難で「4兆円必要」の報道も (時事通信)
(4) バンカメ、メリル買収 リーマンとの連鎖破綻を回避 (産経新聞)
(5) 「流血の日曜日」と報道=金融危機で米メディア (時事通信)
(6) 大手金融機関が破たんする可能性=FRB前議長 (ロイター)

アジア市場、欧州市場は大きく値段を下げ、一時104円台半ばまで円高ドル安が進み、原油安GOLD高となりました。NY市場が開いてからは、NYダウが一時300ドル安となる一方、シカゴの日経先物CME225も一時600円以上下げました。
いつもですと、株価が急落する時は、資金繰りをつけるためにGOLDが売られて安くなるのですが、今日はGOLD価格が急上昇しています。そこにマネーが逃げる力の大きさが見られます。

 日経225先物(CME) 、 Bloomberg.com World Indexes
 (アクセスが集中するため、なかなか表示しない場合があります)

なんだか、10年位前のバブル崩壊していく過程を10倍くらい速いスピードで繰り返し見ている光景が続いています。リーマンは三洋證券、メルリリンチは山一證券、AIGは東邦生命が破たんした光景に似ています。日本の場合、格付け会社が格下げをしたり、飛ばしが発覚して資金繰りができなくなって破たんしたのですが、こちらは事情が異なるようです。一応、サブプライム問題をきっかけに大損失を出して、株価が下がったからなのですが、時価評価をしている関係で、かつての日本みたい損失隠ししにくい分、事態の進展が急速に進んでいます。アメリカの金融システムが危機を迎えるたびに、絆創膏で緊急対処をして、問題を先送りしてきましたが、そろそろタイムアップとなりそうです。

金融機関の破たんといえば、日本でも消費者金融の三和ファイナンスが破産したという記事がありましたね。

 消費者金融中堅「三和ファイナンス」(東京)から法定金利を超える違法な返済を迫られ、過払い状態になっている全国の多重債務者ら598人が12日、「過払い金が回収できない」として、同社の破産を東京地裁に申し立てた。  申し立て側弁護団によると、全国展開している消費者金融に対し、多重債務者が破産を申し立てるのは異例という。 申し立てたのは、同社から借り入れし、利息制限法の上限(年15から20%)を超える違法な金利で返済に応じた人たち。弁護団によると、過払い金の総額は計約3億2000万円に上るが、今年2月ごろから、同社は賠償を命じる判決や裁判上の和解も無視して、支払いに応じていないという。



とかくこの世は平家物語の如し

平家物語の冒頭より

祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理(ことわり)をあらわす
おごれる人も久しからず
ただ春の世の夢のごとし
たけき者も遂には滅びぬ
ひとえに風の前の塵に同じ

リーマン、メルリリンチ、ゴールドマン・サックス、AIG、シティ、HSBC、UBSなど、外資系金融機関とかハゲタカとか言われながら日本で散々荒稼ぎをして、やりたい放題やってきたのですが、自国の住宅バブルが崩壊が進むに従って、急速に業績を悪化しました。彼らの資金繰りをつけるため、当初、オイルマネーや支那のマネーが注入されましたが、それも消え去って、後には紙屑となった債権の山と拝金主義者達の屍が残されました。
 今晩のような金融危機が発生した際、世界中のマネーは臆病ですから、安全なところはどこだと逃げ回ります。その結果が、日本円だったり、GOLDだったり、米国債だったりします。日本はダメなのですが、世界はもっとダメ(笑 なわけです。

そういえば、シティやUBS、HSBCとか、少し前にだいぶ危ないというウワサがありましたが、大丈夫な水準になったという話も聞きませんので、次はシティあたりになるのでしょうか。現在、アメリカを直撃している金融システム不安は、住宅価格がV字型に反転しない限り、時と共に悪化していきます。資本主義はモラルや節度を失い、拝金主義となり、儲かればいいんだとなり、欲望まるだし主義に変化してしまい、世界中からマネーを収奪してきたのですが、どこからも奪えなくなり自滅の道を歩んでいます。

これからどうなる

現在の金融システムが崩壊すると、非常灯としてのGOLDが輝きを増しますが、とても国際金融取引を支えるほど量がありません。現在のマネーが紙屑となってしまうのなら、別の信用システムを構築するしかないのですが、さすがに物々交換まで後退することはないでしょう。アルゼンチンでの金融危機でみられたような、地域単位の顔見知りの人達による信用創造が行われる、地域通貨が出てくる局面になるのではないでしょうか。

橘みゆき 拝  2008/09/16

【参考HP】
 日経225先物(CME) 、 Bloomberg.com World Indexes
 地域通貨の例:大東島(1)ご紹介

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