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2008年9月26日 (金)

7000億ドルの公的資金投入でも焼け石に水

どんどん増えるサブプライム関連の損失

 米国住宅バブル崩壊が進むに従って、サブプライム関連の損失がどんどん膨らんできている。9月24日、IMFのリプスキー筆頭副専務理事はサブプライムローンに関連した金融機関における損失は1兆3000億ドルに達すると発表しました。個人投資家や企業・年金基金などの機関投資家が抱えた損失はこれに含まれません。米国の住宅価格が上昇に転じて、再び住宅バブルが来ない限り、損失は雪だるまのように増えていきます。

【ワシントン=矢田俊彦】 国際通貨基金(IMF)のリプスキー筆頭副専務理事は24日の講演で、低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」関連の金融機関の損失が、世界全体で1兆3000億ドル(約137兆8000億円)にのぼるとの見通しを示した。 IMFは今月上旬、サブプライム関連の損失を世界全体で1兆1000億ドルとの試算を示していたが、さらなる金融不安の広がりにより、損失額を拡大させた。



ブッシュ大統領、金融危機の現状を訴える

 ブッシュ大統領は、金融システムを安定化させるために、7000億ドルもの公的資金を投じるために、アメリカ議会に法案の可決を求めています。トッド上院銀行委員長が法案に懸念を示しただけでNYダウが下落してしまうほど、市場関係者はこの法案に期待をかけていますが、ファニーメイやフレディマックが抱える住宅ローンは500兆ドルに達していますし、CDSなどのデリバティブ取引は、6000兆ドルまで膨らんでいます。7000 億ドルは巨額ですが、6000兆ドルの前には焼け石に水です。拝金主義と化した現在の金融システムが破たんするのを多少延期する効果以上のことを期待しない方が良いのかもしれません。

【ワシントン=渡辺浩生】 ブッシュ米大統領は24日、ホワイトハウスでテレビ演説し、公的資金を投じる総額7000億ドル(約74兆円)の金融安定化策について、「議会が行動を起こさねば、米国は金融恐慌(パニック)に陥り、苦痛のシナリオが展開される可能性がある」と述べ、金融危機拡大と景気の一段の悪化を阻止するため、国民の理解と早急な法案可決を訴えた。 大統領が特定の問題でテレビ演説を行うのは異例。大統領は、共和党のマケイン上院議員、民主党のオバマ上院議員の両大統領候補を25日、ホワイトハウスに招き、超党派で対応を協議する考えも明らかにした。 米政府が19日に発表した金融安定化策は、26日までの可決をめざし、議会で大詰めの審議が続いているが、共和、民主両党から「税金による金融機関の救済」との批判が上がり、ポールソン財務長官も議会の説得に苦しんでいる。 大統領は、米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)を契機に深刻化している金融市場の混乱について、「米国は金融危機の渦中にある。市場は機能せず、信用喪失が広がり、多くの銀行が破綻する可能性もある」と述べて、これまでにない厳しい見方を示し、金融安定化に対処しなければ「数百万の雇用が失われ、長く痛みの多いリセッション(景気後退)に陥る可能性もある」と訴えた。 7000億ドルの税金を投入する安定化策に対し、世論の厳しい批判があることについて、大統領は理解を示す一方、米経済は「重大な試練に立ち向かっている」と語り、安定化策が可決されなければ、「あとから、さらに大きなコストがかかる」と訴えた。 一方、大統領は政府による不良資産買い取りについて、超党派の監督委員会を設置する考えを示した。ポールソン財務長官も同日、下院金融サービス委員会で、金融機関の経営者に対して報酬の制限を設けるべきという議会の要求に応じる考えを示した。

【ワシントン=矢田俊彦】 国際通貨基金(IMF)のリプスキー筆頭副専務理事は24日の講演で、低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」関連の金融機関の損失が、世界全体で1兆3000億ドル(約137兆8000億円)にのぼるとの見通しを示した。 IMFは今月上旬、サブプライム関連の損失を世界全体で1兆1000億ドルとの試算を示していたが、さらなる金融不安の広がりにより、損失額を拡大させた。



アメリカの3大自動車メーカーも青色吐息

 アメリカの景気の悪化と、石油価格高騰の影響で、アメリカで自動車がさっぱり売れなくなっています。給料が減れば、支出を削るのは当然で、その中でも燃費の悪いアメリカ車よりも日本車へのシフトが進んでいますし、自動車そのものの購入を先送りするため、GMを初めとするBIG3は、苦しんでいます。バイオ燃料や水素、燃料電池車を開発するために巨額な資金を必要とする理由で、アメリカ政府は250億ドルの低金利融資を行うことにしました。ですが、新技術の開発する余裕はないわけで、苦しい現状では事業継続のための運転資金に流用されそうです。来年に蒔くタネを冬に食べてしまう愚かな行為です。雇用の確保という大義名分がありますから、救済資金の追加があると踏んでいるのでしょう。金融機関の危機ばかり強調されていますが、産業界全体が不景気でたいへんきびしい状況になっていることを忘れてはなりません。

【ニューヨーク24日時事】 米ビッグスリー(3大自動車メーカー)向け支援予算が盛り込まれた暫定予算決議が24日、米下院で採択された。上院でも月内に採択される見通しで、250億ドル(約2兆7000億円)に上る低利の政府保証融資が実行に移される。ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーの3社が目先、資金繰り難に陥る事態は回避される見込みとなった。 同融資は昨年末に成立したエネルギー関連法に基づく措置で、環境対応車生産のための設備投資費用として認められていたが、融資実施には貸し倒れに備えた議会の予算承認が必要だった。上院での承認後、融資は実行される。ただ実際には、当面の運転資金に充てられる「救済」の色合いが濃く、国民の間から批判の声が上がる可能性もある。

アメリカは毎年1000億ドルのマネーを海外から流入させることで、貿易赤字を穴埋めし、世界中からモノを買って、世界各国の景気を支えています。アメリカがこけると、アジア各国を中心にモノが売れなくなって不景気となります。また、アメリカはBRICS諸国を中心に巨額のマネーを投じています。アメリカの金融システムが苦境になると、資金ぐりをつけるため、世界中に投資したマネーを急速に回収します。1990年代後半に発生したアジア通貨危機をもっと大規模な危機が発生しても、なりふりかまわずです。いま、世界の金融システムは、大荒れする前夜といっても良い状況です。

橘みゆき 拝  2008/09/26

香港の東亜銀行で取り付け騒ぎ発生 2008/09/25に連山へ投稿したコラム

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出典:【対談】 日本の若者に未来はあるか(永井俊哉 vs峯山政宏) 5. 日本は覇権国家になることができるか 以上、私は、覇権国家の盛衰を、三つの法則で説明してきたが、基本的な考えは「先端産業で主導権を握った国が覇権を握る」という第一法則で尽きている。そして、この法則に基づいて、中国が2020年までに覇権国家になるということはまずないと判断できる。 (中略) 国内で、新技術の開発に成功したら、それを用いて、世界のマーケットでビジネスを展開すればよい。世界は、今、食料・エネルギー価格の高騰と環境悪化... [続きを読む]

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